学歴を取り戻す?学歴がない人のためのリカレント教育活用のすゝめ

スキルアップ

低学歴だから…と諦めたくない!キャリアを可能性を広げるためにも注目したいのが、リカレント教育です。

社会人になってからの学びの機会や環境が広く提供されるようになっています。
学び直しや新たなチャレンジで得た知識やスキルは、キャリアを築く上での基盤となったり、可能性を広げてくれることもあるでしょう。

特に、以下のような人にとっては、よいチャンスになる場合もあります。
・キャリアアップやキャリアチェンジしたい人
・知識やスキルが足りないと感じていて学び直したい人
・時代の変化に適応し、活躍し続けたい人

本記事では、リカレント教育の概要から具体的な方法、活用事例までをわかりやすく解説していきます!

そもそも、リカレント教育とは?

リカレント教育を簡単に説明すると、
「生涯を通じて、必要なときには学習ができる機会を作ろうね」
というもの。

大人になり、社会に出ると学生の頃のように学ぶ機会が少なくなりますよね。
しかし、それでは変化する社会やキャリアのニーズに対応することができません。

例えば、AIやデジタル技術が進化する現代では、従来の知識だけでは通用しない場面が増えています。
そのため、新しい分野への学び直しが必要とされるのです。

そこで、新たなスキルや知識を得る機会を積極的につくろうという取り組みがなされています。

リカレント教育とは?
学校を卒業して社会に出たあとも、必要なタイミングで学びを続けるために、大学や専門学校などの教育機関を活用することができる仕組みのこと。
参考:文部科学省:「大学等がリカレント教育に取り組む意義と推進に向けた方向性」
参考:政府広報オンラインより

また、リカレント教育を通じて、学歴を補完することも可能です。学歴ではなく、スキルや実績を重視する業界や現場では高い評価を得られるでしょう。

大学や大学院に入る

まず最初に紹介するのが、大学や大学院、高校を改めて卒業するということ。
大学に入り直して学ぶことで、知識や幅広い教養を得られますし、専門分野への造詣を深めることもできます。

学力への自信を取り戻せるだけではなく、卒業資格を取得できて、キャリアにおいても有利になるケースもあるでしょう。

また、大学だけではなく、中卒の人は高等学校卒業程度認定試験(高認試験)を活用して、高卒資格を得ることもできます。

社会人が入れる大学と入学方法

昼間・夜間学部の大学に入る

・一般入試
大学入試の一般入試とは、学力試験(共通テストや個別試験)を受験し、成績によって合否が決まる方法です。試験範囲は幅広く、事前の十分な準備が求められます。
・社会人入試
大学の社会人入試は、一定の実務経験や年齢を持つ社会人を対象にした入試制度です。学力試験のほか、職務経験や志望理由書、面接が重視されることが多く、働きながら学びたい人に適しています。
・AO入試
AO入試(アドミッション・オフィス入試)とは、学力試験だけでなく志望理由書や面接などで総合的に評価する入試制度です。個性や意欲を重視し、柔軟で多角的な選考基準が設けられます。

通信制大学に入る

通信制大学は、通学の必要がほとんどありません。教材やオンライン授業を活用して自宅で学ぶことができるので、通学の負担なく挑戦が可能です。
また、通学・スクーリングが可能な学校もありますので、自分のスタイルにあわせた学習環境を実現しやすいと言えます。

そのため社会人が働きながら学べたり、育児をしながら学ぶことができるなど、多忙な人でも自分のペースで柔軟に学べます。
幅広い年齢層が挑戦しやすく、また、通学制の大学に比べても費用が抑えられるので、より多くの人にチャンスのある選択肢です。

大学院に入る

実は、高卒でも入れる大学院というのが存在しています。
研究を通じて高度な専門知識を習得できて、修士号も取得できます。費用や時間はかかりますが、学び、人脈などメリットもあります。

大学院の入学資格に関しては、大学を卒業していなくても、

・指定された専修学校の専門課程(文部科学大臣指定専修学校専門課程一覧)の修了者
・大学院において個別の入学資格審査により認められた者で22歳(医学、歯学、薬学、又は獣医学を履修する博士課程への入学に関しては24歳)に達した者
などにも認められます。

ただし、個別の入学資格審査を実施するか否かなどは、各大学の判断となっておりますので、実際に受験資格が認められるか否かは各大学にお問い合わせ下さい。

引用元:文部科学省『入学資格に関するQ&A』より

入学するには「個別入試資格審査」に合格しなければなりません。
個別入学資格審査の内容や審査基準、その難易度については、各大学院により異なるため、一概には言えません。各大学院のWEBサイトを調べてみてください。

大学に入るメリットとは?

大学での学びや経験は、大卒資格が取れることや専門知識を得られるだけではなく、人脈形成やキャリアの選択肢拡大など、将来にわたって可能性を広げる貴重な機会になります。

・大学だからこそ得られる学びがある
大学に入ることで、専門知識や最先端の研究環境、専門家の指導、学問的思考力、多様な交流、学術ネットワーク、信頼性のある資格を得られます。
大学特有の環境だからこそできることもあり、独学や短期の教育プログラムでは得られにくいものもあります。

・大卒資格を取得できる
応募条件に「大卒」が求められる仕事や資格試験に挑戦が可能です。資格が必要な企業や公務員試験、専門資格に挑戦可能となり、就職やキャリアの幅が広がります。

・長期的にキャリアの選択肢が増える
大卒資格や専門知識を得ることで、応募条件が限定される職種にも挑戦可能となり、キャリアの選択肢や将来の可能性が大きく広がる。

・人間関係を広げることができる
大学での学びを通じて、人脈が広がることもあります。同じ分野の仲間や教授、OB・OGとのネットワークを築き、将来のキャリアや活動に活かせるでしょう。

卒業が簡単にできるわけではないことに注意

昼間学部の場合には、日中に仕事をしながら通うのはそもそも簡単ではありません
。一方で、通信制ならたしかに働きながら学びやすい環境が整っていますので、自分のペースで柔軟に取り組めます。

ただし、通信制大学の中でも、もっとも高い卒業率の学校で70%ほど。多くの大学が卒業率を公表していませんが、全体としてはおおよそ15%程度とも言われています。

単位認定試験で点数をとらなければなりませんし、チベーションを維持して継続するのが難しいケースも多いようです。
それゆえ、しっかりと取り組む覚悟をして、自己管理をすることが重要です。

専門学校の活用

何か集中して特定の専門スキル・職能を身につけたいのなら、専門学校に入学するのも良い手段でしょう。

実践的なスキルの習得や国家資格をはじめとする資格取得を目指しやすく、その後の就職やキャリアに役立ちます。
また学力試験のハードルが低いことが多いため、入学しやすいといえます。

通学することを続ける努力は必要ですが、
モチベーションが維持しやすく、人間関係も広げやすいという利点があります。

体系立てたカリキュラムが用意されているケースが多く、
相談できる環境もあるため、比較的学びやすいと言えるでしょう。

その他にも
・就職率が高い
・初任給は高くなりやすい
・資格やスキルが必須の職業への就職が可能となる
といったメリットも挙げられます。

専門学校のデメリット「働きながらはほぼ不可能」

ただし、基本的には日中に授業が行われることが多く、毎日通学し、フルタイムで学校生活を過ごすことになります。
そのため、仕事をしながら取り組むことは難しいと言えます。

学費や教材費が高額な場合が多く、通学している期間は働く時間を減らす必要もでてくるので収入が減ることもあるでしょう。
経済的な負担は感じやすいといえます。

また、一方で、コストが高くなる傾向にあることには注意が必要です。
※夜間部や土日のプログラムを有している専門学校もありますが、選択肢が少なくなってしまいます。

専門学校で得られる代表的な資格やスキル

・看護師
・理学療法士\作業量星
・介護福祉士
・歯科衛生士
・基本情報技術者
・Webデザイン/プログラミング
・動画編集
・簿記
・ファイナンシャルプランナー
・調理師
・美容師
など。

公的な支援や教育の場を活用する

公的機関が用意している教育の場についても有効活用することができます。
職業訓練校や政府のリスキリング支援を活用することで、短期間で実践的なスキルを習得できます。

費用がかからない、あるいは比較的安価なケースが多いため、負担が少なく幅広い人がチャレンジしやすいと言えます。

職業訓練校

職業訓練校とは、ハローワークなどを通じて利用できる、スキルや資格を学べる教育機関です。
多くは無料であったり、給付金をもらって利用することが可能なので、経済的な負担がほとんどありません。

また、1ヶ月〜半年程度という期間でのカリキュラムが組まれており、
比較的短い期間で実践的なスキルや資格を習得できて、転職や再就職に役立つと言えます。
費用対効果の高い選択肢といえるでしょう。

注意点としては、求職者向けの支援というのが基本なので、正社員として雇用されながら参加することは原則できません。
就職が決まった場合は途中退校となることもあるようです。

また、指導内容は委託先の施設によります。
カリキュラムの質や設備、講師の指導力には差があることもあり、望む指導を必ずしも受けられるわけではありません。

政府のリスキリング支援を活用する

2022年に岸田内閣は「今後5年間で1兆円を個人のリスキリング支援に投資する」と発表しました。
労働者が新たなスキルや知識を習得して、変化する市場に適応できるよう支援しようという取り組みが活性化しています。

事例①:経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」

経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の採択を受けたサービスであれば、受講費用の50〜70%の補助金(最大56万円)を受け取ることが可能です。
学びたい講座を補助金によって安価に受講できます。

参考:経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」

事例②:東京都 デジタル人材育成支援プログラム

これは、東京都が用意しているシステムエンジニア/インフラエンジニア/プログラマーを目指すための職業訓練と就職支援を一体的に行う事業です。

1.5ヶ月か2ヶ月のコースを選択することが出来て、自宅からの受講も可能です。受講期間中は日中フルタイムで取り組まなければなりませんが、短期間で費用をかけず学べるメリットがあります。

参考:東京都 デジタル人材育成支援事業

民間のサービスを活用する

予備校や塾

働きながらでもスキルアップや資格取得を目指せる予備校や塾があります。
民間ならではの柔軟なサービス提供により、忙しい生活の中でも無理なく取り組める選択肢が豊富です。

また、最近ではオンラインでの受講も併用できるケースも増えており、時間や場所を問わず学ぶ環境が整っています。

予備校や塾では実績のある講師による講義や体系立てたカリキュラムが提供されるため、効率的な学習が期待できます。
質問や相談がしやすい環境になっていることも多く、疑問を即座に解消できますし、モチベーションも維持しやすくなるでしょう。

また、通学型の場合には、同じ目標をもって学ぶ人たちとの人間関係の広がりもうまれ、情報交換や就職後の人脈につながる場合もあるでしょう。

ただし、民間のサービスですので、総じて費用は高額になりがちです。
さまざまな価格帯のコースが用意されていたり、分割払いが可能なケースもありますが、さまざまなサービスを比較検討するとよいでしょう。

オンライン講座

オンライン講座は、手軽で柔軟性が高く、上手に活用すれば非常に費用対効果の高い選択肢です。
人との関わりが増えにくい面はありますが、自分のペースで知識やスキルを身につけたい人には大きなメリットがあります。

オンライン講座のメリット

1.自由度・柔軟性
オンライン講座は、時間や場所を問わずに活用できます。自宅でも、旅行先でも、職場でも活用が可能です。忙しい社会人や子育てとの両立も無理なく続けられる選択肢です。

2.多彩な分野の講座が利用できる
オンライン講座には、幅広いジャンルの講座があります。
ITスキル、ビジネススキル、資格試験対策、語学、などの分野にとどまらず、
予備校や公的教育機関では用意されていないようなニッチなジャンルの講座も充実しています。

自分の学びたいことを選びやすいといえます。

3.かかるコストが少ない
オンライン講座は通学型の予備校やスクールと比較しても、受講料が安い場合が多いです。通学にかかる交通費や時間も節約できるので、誰でも挑戦しやすい環境だといえるでしょう。

オンライン講座は自分で計画的に継続しよう

オンライン講座では、学習環境は自分次第なので、計画的に取り組まなければなりません。また、自分自身でモチベーションを維持して、継続しなければなりません。

また、質問や相談がしやすいとは言えないので、自分自身で疑問点などを解消していく工夫も求められます。講師に直接質問できる機能があるオンライン講座もありますが、シームレスに質問できる環境は多くありませんので注意が必要です。

独学

独学も自由度が高く、コストが低いのが魅力的な選択肢です。自分のペースで取り組めます。

しかし、以下のようなデメリットもあります:
・質問や相談をする環境がない
・体系化されたカリキュラムが用意されていない
・モチベーションを自分で管理して、継続する必要がある

特に、勉強に慣れていない人にとっては、効率が悪くなり、目標達成までに予想以上の時間がかかることもあります。
費用が安くても、希望するスキルや資格が身につかなければ意味がありませんよね。準備をしっかりと行って、計画的に取り組みましょう。

書籍や参考書を活用した学習

学びたい分野に関連する書籍や参考書を活用することは、効率的かつ手軽に知識を深められる有効な方法です。

効果的に書籍や参考書を活用するためには以下のポイントを押さえましょう。

1 .自分のレベルに合った本を選ぶ
基礎から応用へと段階的に学べるよう、現在の理解度に合ったものを選ぶことが重要です。難しすぎるものを選ぶと挫折しやすくなりますし、学習効率が悪くなります。自分のレベルにあったものから始めて、徐々に難易度を上げるのが効果的です。

2.繰り返し読み込む
一冊を何度も読むことで、内容を深く理解し、自分の知識として定着させやすくなります。一回読むだけでは、理解が浅い場合や記憶に定着していないこともあります。複数回の振り返りはとても大切です。

3.複数の本を比較して読む
同じテーマに関する異なる本を読むことで、さまざまな視点や違った角度からの解説を得られて、理解がより深まることもあります。

4.メモをとったり、演習を取り入れる
重要な部分をノートに書き出したり、問題集を使って実践的な演習を行うことで、知識がさらに定着します。

これらを意識しながら書籍や参考書最大限に活用しましょう。自分のペースで効率的に学びを深められますよ。

Youtubeを活用した学習

Youtubeには幅広い分野の解説動画がアップされており、そのほとんどが無料で視聴可能です。
無料でありながら、プロの講師による授業が配信されていることも多く、経済的負担を抑えつつ効果的な学習に活用できます。

ただし、いくつか注意点もあるので抑えておきましょう:

1.情報の精査が必要
誰でも動画を投稿できるプラットフォームなので、内容の正確性や質はバラつきがあります。「正しい情報なのか?」「良い授業なのか?」といったことは自身で精査する必要があります。
2.体系化されていない
また、動画が必ずしも体系的に並んでいるわけではありません。学ぶ順序や内容の整理を自分自身で行って、取り組む必要があります。
3.エンタメ動画の誘惑
学習する上で雑音となるエンタメジャンルの動画につい目をとられてしまう…ということもあります。計画的に集中して活用することが大切です。

これらを踏まえて、目的に会った動画をうまく活用しましょう。そうすればYoutTubeは独学のための強力なサポートツールとなります。

その他の無料で学べるサイト

YouTubeに限らず、無料で学べる動画サイトは多数あります。自分の目的に合った動画サイトを活用して効率的に学習をすすめましょう。

・Khan Academy:非営利団体が運営する教育プラットフォーム。数学、科学、プログラミングなどを動画で学べます。
・NHK for School:NHKが小中高生向けの教育コンテンツを無料で配信しており、基礎知識を深めるのに役立ちます。
・Adobeラーニング:Adobe製品の使い方には詳しい講義が無料で提供されています。デザインや動画編集を学ぶことができます。

リカレント教育活用のメリットやデメリット・課題とは?

ここまでリカレント教育の選択肢についてお伝えしましたが、さまざまな学習方法や制度がありました。
最後に、そのメリットやデメリット、注意点を以下にまとめておきましょう。

メリット

1.キャリアアップや転職の可能性を広げる
新たなスキルや資格を取得することで、現在の職場での昇進や異業種への転職がしやすくなります。
AIやデジタル技術など、時代に即した知識を習得することで、将来的な職場での価値が高まります。

2.柔軟な学習環境
通信制大学やオンライン講座を利用すれば、働きながらでも学べます。
夜間部や土日プログラムの専門学校もあり、多忙な社会人でも取り組みやすい環境が整っています。

3.学歴を補完できる
大卒資格や専門知識を得ることで、学歴要件がある職種や資格試験への挑戦が可能になります。
大学や専門学校では、資格取得を目指すカリキュラムが充実しており、スキル向上にも直結します。

4.人脈が広がる
同じ目標を持つ仲間や教授、業界のプロフェッショナルとの交流を通じて、将来に役立つ人脈が構築できます。

デメリット

1.経済的負担が大きい
通学型の学校や有料の講座は、学費や教材費が高額になることがあります。
また、働く時間を減らす必要がある場合、収入減の可能性もあります。

2.時間的制約
フルタイムの学校生活や、昼間部の授業を受講する場合、仕事との両立が難しいことがあります。

3.モチベーション維持の難しさ
特に通信制大学やオンライン講座では、自分で計画を立てて継続的に学習を進める必要があり、途中で挫折する人も少なくありません。

4.成果が保証されない
学び直しが必ずしも収入アップや転職成功に繋がるわけではありません。
事前に目標を明確にし、計画を練る必要があります。

注意点

・計画的な準備が必要
目標や必要なスキルを明確にし、自分に合った学習スタイルを選びましょう。

・情報収集の徹底

入学前に学校や講座の内容、費用、スケジュールを十分に調査することが重要です。

・自己管理が鍵
学びを続けるには、スケジュール管理やモチベーションの維持が不可欠です。
特に独学や通信制の場合、自己管理能力が求められます。

メリットやデメリット、注意点を理解したうえで、自分に合った学習方法で取り組めば、
社会人からでもスキルや知識を学び直すことは可能です。

むしろ、これからの時代は新たな学びを得た人のほうが有利とも言えます。
新たな学びを得ることは、教養も増えるし、視野も広がり、自信にもつながります。
積極的にチャレンジしてみるとよいかもしれません。

まとめ

リカレント教育は、新たな可能性を広げるひとつの手段です。
学歴やスキルに不安を感じる人やキャリアアップしたい人にとっては、特に適した選択肢だと言えます。
うまく活用することで、知識やスキルを習得して、キャリアの選択肢を増やすことが可能です。

また、学びを通じた人脈形成のきっかけになることも。
時間もお金も限られていますので、目標を明確にして、効果的な学習に取り組んでみましょう。

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